作品の紹介
最初に“『坊ちゃん』の時代”の概要をご紹介します。
関川夏央、谷口ジロー作品。一九八六年「週間漫画アクション」連載開始(初出時『”坊っちゃん”とその時代』)。一九九八年完結。現在文庫判第一巻〜第五巻発売中(双葉社)。
膨大な資料を元に制作された、関川夏央の精密な脚本を、従来の演出法に更なる厚みを加えて、谷口ジローが作画した代表作。
近代日本の黎明期「明治時代」、行き先不透明な当時の世相、混沌とする世界情勢の中、次々と生まれた「文学」を物語の中核に据え、新たなマンガとして世に問うた革新的シリーズ。

『「坊ちゃん」の時代』は「上質な小説漫画」
この作品は「絵・画」が谷口ジローで、原作が関川夏央ですが、
敢えて、共著として著者がお二方の名前になっているそうです。
それ位、お二人は一体になりながら、この書籍を作ったのが
読んでいてわかるくらい、情熱が伝わってきた作品でした。

(※このブログに載せた漫画はすべて『坊ちゃん』の時代の出典です。)
最初、史実に沿った夏目漱石の物語かと想像していたのですが
あくまでも、フィクションで、
ウィキペディアで調べてみると以下のように書かれていました。
自らが「坊っちゃん」のモデルであると主張した太田仲三郎による手記『明治蹇蹇匪躬録』(めいじ けんけん ひきゅうろく)を原典としている、という設定である。
太田仲三郎は本作品における創作上の架空の人物で、『明治蹇蹇匪躬録』も同様に本作品における創作であり、いずれも実在しない。
引用:ウィキペディア
太田仲三郎による手記『明治蹇蹇匪躬録』というのは、この漫画の最後に出てくるので
そういうことだったのかと改めて認識しました。

読後に全体の姿が見えてきた時に、
改めて、この作品は漫画ではあるけれども、「上質な小説」「小説漫画」だったなと感じましたね。
夏目漱石の『坊ちゃん』を発想して、作り上げていくまでの過程を主軸に置きながら
漱石の人間関係や、明治の時代背景、著名人の登場などが散りばめられ
そして、漱石の精神の弱さを小説を書くことで、癒していくという小説家としての原点を
知ることができたことは、何よりも収穫であったと思う。
膨大な資料を元に制作された、関川夏央の精密な脚本を、従来の演出法に更なる厚みを加えて、谷口ジローが作画した代表作。
近代日本の黎明期「明治時代」、行き先不透明な当時の世相、混沌とする世界情勢の中、次々と生まれた「文学」を物語の中核に据え、新たなマンガとして世に問うた革新的シリーズ。
夏目漱石、森鴎外、石川啄木を始めとする、後世に名を残す文豪たちを始め、幸徳秋水、山県有朋、桂太郎、平塚らいてうなどの歴史的政治家、運動家たちが続々登場し、文学論、思想論を互いに切磋琢磨し、議論し交錯する。
そして歴史の流れのまま物語は進む。
家屋に注目
その中でも、注目したのは漱石が居住していた日本家屋です。
実は、先般、愛知県犬山市の『明治村』へ行った際に
森鴎外、夏目漱石が居住していた日本家屋を見学してきたところだったので。
ものすごく見入ってしまった。


しかも、その家屋がそのまま描かれているので、変に感動してしまいました。
この漫画を読んでから、『明治村』に行った方が良かったのか
読む前に行った方が良かったのは、わかりませんが
とにかく、ストーリーよりも家屋ばっかりを追いかけてしまいました。(^^)

(※上記写真は『明治村』ガイドブックからの出典です。)
最後に
この作品は、爆発的に売れるとは思いませんが
第2回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞を受賞したように
文化として残っていく程の「小説漫画」だったのではないでしょうか。
谷口ジローさんの絵は、何か人間の影であったり、心の機微であったり、
目に見えない風情がいいですね。

この漫画は全5巻だそうですが、
機会を見つけて読んでいきたいと思います。

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