夏目漱石は「吾輩は猫である」とか「坊ちゃん」などの著者である、
ということは、知っているけど
夏目漱石がどんな人物かをもっとよく知りたい方へお薦め本3冊ご紹介。
小説、漫画、ガイド本
1冊目 小説 『ミチクサ先生』 伊集院静著 (上、下巻) 講談社
2冊目 漫画 『先生と僕 夏目漱石を囲む人々(青春編)』 幸日ゆら著 河出文庫
3冊目 ガイド本 『文豪ナビ 夏目漱石』 編集 新潮文庫
『ミチクサ先生』 伊集院静著
この本は、日経新聞に掲載された連続小説を単行本にした作品です。
(2019年9月~2020年2月、 2020年11月~2021年7月 掲載、 2021年11月初版)
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夏目漱石の誕生から亡くなるまでの生涯を
伊集院静氏の読みやすい文体と詳細な過去資料を交えながら
漱石や交友関係にあった人物像を浮き上がらせ
生き生きと描かれた作品です。
内容紹介(出版社より)
ミチクサが多いほうが、人生は面白い!
てっぺんには裏から登ったって、足を滑らせたっていい。
あちこちぶつかったほうが道は拓ける。
夏目家の「恥かきっ子」金之助は生まれてすぐに里子に出されたり、年老いた父親にガラクタ扱いされながらも、道楽者の祖父の影響で子供ながらに寄席や芝居小屋に入り浸る。
学校では異例の飛び級で頭角をあらわし、心のおもむくままにミチクサをして学校を転々とするように。
その才能に気付いた兄に英語を仕込まれ、東京大学予備門に一番で合格した金之助は、そこで生涯の友となる正岡子規と運命の出逢いを果たすーー。
伊集院静がずっと共鳴し、いつか書きたかった夏目“漱石”金之助の青春
「日経新聞」大人気連載、待望の書籍化!
引用:講談社BOOK倶楽部
上巻 正岡子規との交友
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上巻での読みどころは、
何と言っても「正岡子規」と「米山保三郎」との出会いでしょう。
特に正岡子規と出会いは、漱石の人生の中でもかなり骨格を成す出会いだったようです。
大学の予備門(第一高等中学)での天才秀才と言われた三人の出会いは
それぞれが全く違う個性の歯車がうまく噛み合っていく様子がうかがえ
この時点で「小説」は出来上がっていたと思えるのです。
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「ミチクサ」という言葉は、各所に出てきますが
寺田寅彦に山登りを例えにし
人生にとって「ミチクサ」の必要性について述べる箇所は
読みどころかと思います。
この「ミチクサ」を主題に持ってきたのは
伊集院静氏の小説ならではないでしょうか。
皆が読みたい小説を書いてほしいんです!
「こんなに美しい富士山と海を、どんな文章でお書きになるのか、読んでみとうございます」鏡子の言葉は、金之助の胸の奥を揺り動かした。
英語教師として松山で子規と過ごした金之助は、次に赴任した熊本では鏡子を迎えて新婚生活が始まる。
英国に留学している間に子規は亡くなり、帰国すると帝国大学の教師に。
高浜虚子から子規ゆかりの句誌「ホトトギス」に小説を書いてほしいと頼まれ、初めて書いた小説「吾輩は猫である」が大評判に。
やがて東京朝日新聞の社員として連載した数々の小説で国民作家となり、後進の文学者たちにも多大な影響を与える――。
処女作「吾輩は猫である」がいきなり評判となり、「坊っちゃん」で国民作家に。
引用:講談社BOOK倶楽部
下巻 数多くの著名人の登場
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下巻は学校の教授時代やイギリスへの留学時の様子、
小説ができるまでのエピソード、正岡子規の最期、等
読みどころは満載ですが
私が注目したのは、数多くの著名人の登場です。
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寺田寅彦
高浜虚子
森鴎外
浅井忠 (美術家)
中勘助
森田草平
芥川龍之介 等々
漱石の門下生に優秀な人達が多いことに驚きと
漱石の人望があったことがよくうかがえる。
特に寺田寅彦は一高首席の優秀な人材でありながら
その優秀な人物が漱石を信頼して毎日のように訪問し
何かを学ぼうとしていたことが印象的でした。
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小説は漱石が胃潰瘍で亡くなるところまで書かれています。
漱石の全体像、時代背景、人生を知る上ではこの小説は
有意義に飽きることなく読める作品だと思います。
『先生と僕 夏目漱石を囲む人々』青春編 香日ゆか著
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『先生と僕 夏目漱石を囲む人々』は4コマ漫画を集積して
一冊にした文庫本です。
(原作は2010年11月~2012年11月に刊行。文庫化は2018年11月初版)
この漫画では、漱石が社会人(学校の先生)になってから
作家への入口(「吾輩は猫である」執筆)までの
エピソードが収められている。
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4コマ漫画ではありますが、漫画の左側には注釈がついていて
内容的には大変充実しています。
内容
夏目漱石の生涯と、正岡子規・中村是公・高浜虚子・寺田寅彦ら友人・門下・家族との交流を描く傑作四コママンガ! 「青春篇」には漱石の学生時代から教師時代、ロンドン留学、作家デビューまでを収録。
引用:河出文庫
この漫画でも門下生はじめ著名人たちがたくさん登場し
エピソードにもリアル感があります。
青春編以外にも作家編、
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「夏目漱石解体新書」等があります。
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併せて読まれると、夏目漱石についての隠れたる人物像は
しっかり、見えてくるかと思います。
『文豪ナビ 夏目漱石』 新潮文庫編
「文豪ナビ」は夏目漱石以外にも
文豪と呼ばれている作家11名のシリーズとして
新潮社より、文庫本で販売されています。
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漱石以外には、谷崎潤一郎、芥川龍之介、太宰治、三島由紀夫等々があります。
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現代に近い作家さんとして藤沢周平、池波正太郎、司馬遼太郎、松本清張等
内容としては、主には作品の紹介、要約、ポイントピックアップ、評伝等
新潮社編集ならではの作家の魅力を引き出すガイド本になっています。
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この本1冊で、作家の主だった作品を「読んだつもり」になってしまうのが
玉に瑕なんですが、
作家の概略を大掴みしたり、復習したり、思い出したりするには
最適の書かもしれません。
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漱石の作品は、かなりヘンテコリンで面白い。
『こころ』は男同士の恋愛を軸に展開する話とも読めるし、「文鳥」では文鳥を眺めて美しい女の影を夢想しながら、実生活では奥さんの尻に敷かれがちな漱石の姿が見えてきます。
それは普通の人間の、百年経っても色褪せない日々の姿です。
わかりやすい評伝・名作の要約・音読したい名場面・人気作家のエッセイなど、文豪の新しい魅力が発見できる画期的なシリーズ!
引用:新潮文庫
『文豪ナビ 夏目漱石』は
2004年に初版されています。
随分時間が経ちましたが、文豪や作品が変わることはないので
今でも十分、満足できる内容かと思います。
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