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漫画『神々の山嶺』谷口ジロー(画)夢枕獏(作)|エヴェレストへの執念の物語

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漫画
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『神々の山嶺』は谷口ジロー氏渾身の作品

この漫画は、谷口ジロー氏の渾身の作品じゃないでしょうか。

人物の描写、山脈の姿、自然現象の様子、すべてに迫真の絵を感じました。

物語の面白さも、もちろんありましたが

絵を描く熱量にグイグイ読まされた感じがします。

2006年10月 1巻 初版 集英社文庫(コミック版)

神々の山嶺』概要

『神々の山嶺』(かみがみのいただき)は、夢枕獏による小説

『小説すばる』にて1994年7月から1997年6月号まで連載。

1997年8月に集英社により上下巻が刊行され、のちに文庫化。

角川文庫より一巻本で文庫化(映画化タイトルにあわせ『エヴェレスト 神々の山嶺』に改題)。第11回平成10年度柴田錬三郎賞受賞

登山家である羽生丈二が、前人未到のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑む姿を描く。

ストーリーに「ジョージ・マロリーはエベレストに登頂したのか」という実際の登山界の謎を絡めており、その謎に答えを出しているが、内容はフィクションである。

登山者向け雑誌『岳人』(ネイチュアエンタープライズ)では、2014年9月号より夢枕による『「神々の山嶺」創作ノート』を連載中。

また、この小説を原作とした漫画作品が谷口ジロー作画で『ビジネスジャンプ』(集英社)に2000年から2003年まで連載された。単行本全5巻。

この作品は2001年に第5回文化庁メディア芸術祭マンガ部門・優秀賞を受賞した。

2016年には映画化されている。

引用:ウィキペディア

 



フィクションとノンフィクションが糾える物語

この物語の特徴的なことは

フィクションとノンフィクションが合わさっているところにもあると思います。

冒頭に登場するジョージ・マロリーは実在する人物ですし

エヴェレストに最初に登頂したどうかは不明のまま亡くなっています。

また、カメラも見つかっていなかった事も事実のようなので、

このあたりの謎を絡めてのストーリー作りは作家夢枕獏さんのうまさを感じます。

また、主人公「羽生丈二」もモデルが「森田実」さん。

羽生丈二さんのライバル視していた「長谷常雄」のモデルは

長谷川恒夫」さんだったようですね。

「森田実」さんも「長谷川恒夫」さんも存じ上げないですが

恐らく登山家さん達には伝説の方じゃないでしょうか。

こういった実在する人物が見え隠れするので、

この物語はより惹きつけられるんだと思います。

あらすじ

メンバー全員が45歳以上で構成される中年のエベレスト登山隊は、2人の滑落死者を出し失敗に終わる。

遠征に参加したカメラマンの深町は帰国する隊員と別れ、あてどなくカトマンズの街を彷徨う中、ふと立ち寄った古道具屋の店先で年代物のカメラを目にする。

エベレスト登山史上最大の謎とされているジョージ・マロリーの遺品と見た深町は即座に購入するが、カメラは宿泊先のホテルから盗まれてしまう。

カメラの行方を追ううちに、ビカール・サン(毒蛇)と呼ばれる日本人から盗まれた故売品であることが判明するが、故買商からカメラを取り戻すために深町の前に姿を現したビカール・サンは、かつて日本国内で数々の登攀記録を打ち立てながら、ヒマラヤ遠征で事件を起こし姿を消した羽生丈二その人であった。

帰国後に羽生の足取りを追った深町は、羽生が登山家としては既に峠を越した年齢でありながら、エベレストの最難関ルートである南西壁の冬季単独登攀を目論み、その最中にカメラを発見したことを察知する。

恋人との生活も破綻し目標を見失いかけていた深町は、羽生の熱気に当てられるようにカメラの謎と羽生を追い始める。

引用:ウィキペディア

羽生丈二 前人未踏を常にこだわる男

この物語は山岳カメラマンの「深町誠」の視線で進行していきますが

主役はやはり「羽生丈二」でしょう。

彼のキャラクターは、幼少の頃の不遇な環境が

今の反骨精神や常に一番最初を狙うという思考と強靭な精神力を持つ人物設定

誰も無し得たことがないことへのチャレンジとは「前人未踏」であること。

それだけが彼の山へのこだわりであり、生きることのすべてであったとのだと。

それが、厳しい自然の中を登る過酷さ

仲間を滑落の中で失う非常や無常があっても、

極限を超越するように山を登攀する姿が描かれているのです。圧巻です。

 



長谷常雄 単独登攀の天才クライマー

もう一つの見所は、羽生丈二のライバル視していた「長谷常雄」の存在でしょう。

羽生丈二は泥臭さや一匹狼的な存在ですが

長谷常雄はスマートなんです。

いとも簡単に羽生丈二の谷川岳の「鬼スラ

(鬼のようなスラブ。鬼でも登れない岸壁の意味)

単独で登攀してしまい

そのあとも、マッターホルン、アイガー北壁を単独で登攀してしまう

天才クライマ―なんですね。

この羽生丈二との対比が面白いことと、羽生丈二が闘志を燃やして山に挑む姿は

「一番への価値」への執念を感じ、この物語に拍車をかけています。

残念ながら、2巻で長谷常雄は雪崩で亡くなってしまうのですが、

とても残念です。

登山漫画史上に残るであろうシーン

2巻ではグランドジョラスの羽生丈二の日記から始まるのですが

ここからの回想シーンは、登山漫画史上に残る名シーンかもしれません。

約100ページに渡るこのシーンは、

羽生丈二の満身創痍(左腕、左大腿骨、肺肋骨の骨折)になりながら

垂れ下がるロープを攀じ登り、壁のわずかなスペースで寒さと空腹に耐え

凍傷になり、幻覚を見ながら、生死を彷徨い、かろうじて生きている姿の絵

真に迫る画力に圧倒されます。

そして、最後のエヴェレスト登攀の際のシェルパが滑落し

羽生丈二が動けないシェルパを背負いながら岸壁を攀じ登る姿

人間の限界を超えた場面に、読む側も力が入ってしまします。

間違いなく、この漫画は名作だと思います。

 



追記:3巻~5巻 羽生丈二が、深町誠がエヴェレストに挑む

3巻はカメラマン深町がマロリーのカメラを探すところから

色々な事件に遭遇し、ドタバタの展開になるのですが

岸涼子(山で亡くなった岸文太郎の妹であり羽生丈二の恋人)が

拉致される事がきっかけ

羽生丈二とも深町は出合う事なります。

3巻はこの物語としては、“落ち着かせる”章であったかもしれません。

4巻はいよいよ羽生丈二が単独で

エヴェレスト南星壁冬季無酸素登頂に向かいます。

深町もカメラマンとして、羽生を追いかけ撮影する為

エヴェレストに向かうのですが、

ここからが、過酷極まる場面の連続で読む手が止まらなくなります

ネタバレすると、深町が命を落としそうになるところ

羽生が助けるということになります。

(あとは漫画を読んで迫力を愉しんでください)

5巻は、羽生が最後の登頂アタックの場面から始まります

命拾いした深町は下山しながら、望遠レンズで羽生を追いかけます。

そして、名言が書かれているんです。

さあ、立て・・たちあがれ

体力がひとしづくだっだってのこっているうちは

ねむることはゆるさないぞ

足が動かなければ手であるけ

手が動かなければ指でゆけ

指が動かなければ

歯で雪をゆきを かみながらあるけ

歯がだめなら目であるけ

目でゆけ 目でゆくんだ

目でだめだったら 

それでもどうしてもだめだったら

思え

ありったけのこころでおもえ

想えーー

引用:「神々の山嶺」5巻

これが羽生丈二ですね

しかし、羽生はその後キャンプまで戻ることはなかったのです。

ドラマはまだ続きます。

深町は東京へ帰って、エベレストでの羽生丈二のことや

マレリーのカメラの記事を書き公表します。

しかし、深町の心の中にはまだ燻っているものがあり

再びエヴェレストに挑みます

そして、命をかけて無酸素単独登頂に成功し歓喜を味わい

感動もつかの間、命からがら下山しますが

そこで、深町が出合ったものは・・・・。

衝撃のラストが待っています。

是非、残りは漫画で感動を味わってください。

<深町がエヴェレストの頂上に立った時こう叫びます。>

「そして俺は地球を踏んだ」

なぜ山に登るのか

なぜ生きるのか

そんな問いも答えもゴミのように飛んで

蒼天に身体と意識が突き抜ける。

引用:「神々の山嶺」5巻

素晴らしいの一言の作品でした。

参考:マンガぺディアにフルキャストが載っていました。

アニメ映画公開

2022年7月8日 アニメ映画が公開されました。

こちらも楽しみですね。

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