辻村深月さんの作品は『東京會舘とわたし』『傲慢と善良』に続いて3作品目。
普段は読まないジャンルの本なんだけど、
本屋大賞含め9冠を取った作品ということで手に取ってみた。
○2018年本屋大賞 第1位
○ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR2017【小説部門】 第1位
○王様のブランチブック大賞2017 大賞
○埼玉の高校図書館司書が選んだイチオシ本2017 第1位
○第11回神奈川県学校図書館員大賞(KO本大賞) 大賞
○熊本県学校図書館大賞2017 大賞
○2017年啓文堂書店文芸書大賞 大賞
○第6回ブクログ対象小説部門大賞【小説部門】 大賞
〇ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR2021【文庫部門】 第1位出典:PRTIMES

<作品紹介>
あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。出典:Amazonかがみの孤城

辻村深月さんの構想力がすばらしい小説
ありきたりな感想で申し訳ないが、おじさんが読んでも“面白かった”。
前半は安西こころ(中学1年生)の女の子がいじめにあって学校に行けなくなるという
小説としてはありきたり?なテーマから入ってきたので
これはちょっと思いやられるなと思いながらも
辻村さんの読ませる文章が心地よい為、ずんずん読み進めることができた。
途中読みながら、安西こころちゃんの心の描写があまりにも繊細で
中学生の女の子の心の中はこんなに薄いガラスのように壊れそうなものなのかと思うと同時に
何ページもその描写が続いて行く辻村さんの文章力に感心してしまった。

中盤より、ガラスの城の中でのこころちゃんと同じような境遇の中学生7人の生活が始まる。
この7人はそれぞれの理由により学校に行けずにこの城に集まるようになるのだが
“オオカミさま”とのやり取りや子供たちの行動や会話を読むにつれ
この話はどこへ向かっていくのかを想像しながら読み進めていく。
なぜ、この7人なのか、なぜ鏡を潜り抜けて不思議なこの城なのか、
次はどうなっていくのかというサスペンス要素が読者を引き込んでいきます。
辻村深月さんによるベストセラー作品『かがみの孤城』が、2022年3月16日にポプラ社より児童文庫として刊行されます。
出典:産経新聞ニュース
安西こころちゃんもこの城で仲間たちと会話や行動をすることで
現実の生活や学校への考え方にも変化がみられ、最初の頃よりも精神的に強くなり始めてきたので
プラスの方向に進んでいく子供の成長物語かと思い始めた矢先に、大きな展開を迎える。
ある日、アキの制服を見ることで、皆が同じ学校の生徒だとわかり、
学年はバラバラだけど、住んでいるところも近そう・・。
私たちは同じ学校の生徒なのか?
でも、会ったことも無いし、何か話が食い違うこともあり、
どういうことなのかと違和感も残しつつ、城の中の生活は続いて行く。
このあたりから、一気読み必至の後半に流れていくのですが
ここからは、本を読んで頂きたいので詳細は割愛させて頂きます。
この7人はどこから来たのか。どういう境遇なのか。
この7人は何が違うのか。どういう関係性があるのか。
願いの鍵は見つかるのか、誰の願いが叶うのか。
“オオカミさま”は何者なのか。
色々な謎を抱えて、読者の想像を超えて、2転、3転しながら
怒涛のように物語が進んでいきます。
読み終えた時は、辻村深月さんの構想力のすばらしさと
作家としての力を見たような気がしました。
554ページ楽しませて頂きました。
ありがとうございました。
辻村深月
1980年2月29日生まれ。山梨県出身。千葉大学教育学部卒業。
2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。他の著作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ロードムービー』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『V.T.R.』『光待つ場所へ』(以上、講談社)、『太陽の坐る場所』(文藝春秋)、『ふちなしのかがみ』(角川書店)など。
2010年に『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』が第142回直木賞候補作となる。
出典:Amazonかがみの孤城


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