『東京、はじまる』は建築家辰野金吾の物語
この本は建築家、辰野金吾を生涯を通しての
彼の設計した建築物の物語なので
辰野金吾に興味が無ければ退屈するかもしれない。
物語としてさほど大きな山あり谷ありの波乱万丈なものではなく、
初の日本人建築家の仕事ぶりや奮闘ぶり書かれており、
そして代表作日本銀行本店、東京駅のできるまでの
マニアックな小説なんでね。
ただ私は辰野金吾にも建築物にも興味があったので、
深く知ることができ凄く満足しています。
建築ファンには堪らないと思いますが。
門井慶喜氏は建築に博学があるので
建築家の小説はホント楽しみなんですよね。
この男がいなければ、今日の東京の風景は、なかったかもしれない。
日本銀行、東京駅、国会議事堂……経済、交通、そして民主政治という近代国家を象徴する建物を次々と設計した明治の建築家・辰野金吾。理想の首都「東京」を作り上げようとする辰野はまさに維新期ならではの超人だった。
しかし、超人であるがゆえの破天荒さは周囲を振り回し……。
下級武士から身を立てるべく学問に励み、洋行して列強諸国と日本の差に焦り、恩師ジョサイア・コンドルを蹴落としてでも日本人建築家による首都作りを目指した男の一代記は、今日の風景が生まれるに至った「東京のはじまり」の物語でもあった。引用:文芸春秋ブックス
『帝国ホテル建築物語』の辰野金吾と遠藤新も興味深い
先日、『帝国ホテル建築物語』植松三十里著を読了したのですが
この本の中に、辰野金吾が設計コンペの審査員として登場します。
若き遠藤新(フランク・ロイド・ライトの愛弟子)が
東京駅をかなり自分なりの論点で批判し
それを新聞まで載せてしまうという暴挙にでるのですが
辰野金吾は設計コンペで遠藤新の作品を称賛し、
順位を3位まで押し上げるという
男っぷりを見せる場面があります。
さすがは日本を代表する建築界の第一人者だと感じました。
辰野金吾の関西の建物も必見
大阪中央公会堂 大阪市北区中之島1-1-27
引用:大大阪モダン建築 青幻社
辰野金吾の建築物としては東京では東京駅や日本銀行などが有名ですね。
関西では大阪中之島の中央公会堂が有名ですが
私が好きな辰野金吾の建築は中央公会堂からもほど近い
旧シェワダ高麗橋ビル(今は変わってしまっています)が
美しいフォルムだと思っています。
いわゆる「辰野式」と呼ばれるレンガと石の組み合わせの様式ですね。
先日神戸へ行った時も辰野建築に出合いました。
旧第一銀行神戸支店の外壁です。
もう、建物そのものは無くなっているのですが
外壁のフォルムだけを残し
あとは新築ビルに作り直したプロジェクトですね。
地下鉄「みなと元町」駅の真上に美しく残っています。
神戸の港町の雰囲気にマッチしていますよね。
是非近くに寄られた際は、見学に立ち寄ってください。
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