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『帝国ホテル建築物語』植松三十里著【建築ファン必読】

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建物
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私は建築家モノの小説も好きなので、

よくチェックしているがこの本は初めて知った。

植松三十里さんも初読みの作家さんです。

文章に癖が無く、とても読みやすかった。

表紙帯の阿川佐和子さんの推薦通り、感動の1冊に巡り合えました。

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プロローグは谷口吉朗から始まる

この本はプロローグから、建築家ファンにはハッとする名前が出てくる。

谷口吉郎である。

(東京国立近代美術館本館、東京国立博物館東洋館等数々の建物を作ってきた

日本を代表する建築家)

いや~最初から大物の名前が出てきましたかと引き込まれていきました。

谷口吉郎が帝国ホテルライト館の明治村への移築に係わった人なのかと知って

次からの本題への興味が益々増えていきましたね。



本題に入るなりビックネームが並びわくわくが止まらない

本題は帝国ホテル支配人の林愛作の名前からスタートし

●そこへ学生であった遠藤新(後にフランク・ロイド・ライトの愛弟子になる建築家)

 林愛作との出会い等は、建築ファンにはたまらない展開でした。

●林愛作は当時、山中商会(古美術商)の海外支店に勤めていた関係で

 フランク・ロイド・ライトが浮世絵の購入の際に知り合いになっていたんですね。

 その関係で今回の帝国ホテルの設計を依頼する経緯なども興味深く読めました。

●また、林愛作への支配人招聘には、渋沢栄一大倉喜八郎という大物の名前が登場。

 その交渉ぶりがまた大物ならではでここも読みごたえありでした。

●その他、ホテル内ランドリーの話やそこから林愛作の妻となるタカとの出会い話、

●そして辰野金吾と遠藤新の設計コンペの逸話。

伊東忠太も登場する)等読みどころ満載です。

建築が始まれば、壮絶な現場の戦いが始まる

引用:明治村HP

●いよいよ、フランク・ロイド・ライトの設計や資材選び、

建築施工の展開になっていくのですが、ここからは壮絶でしたね。

●ライトが“黄色いレンガ”をどうしても使いたいが為の久田吉之助との攻防。

 そして最後はほろりとさせるヒューマンドラマの展開。

●次は大谷石の選定に至るまでいくつもの逸話。

●地盤の悪さから浮き基礎になったが為にミューラー(基礎設計、現場監督)と

職人とのトラブル連発。

●大谷石の加工で難しい注文や変更を繰り返すライトと石工職人との一触即発。

 しかし親方の絶対的存在による鎮静場面はいい場面でした。



何度も崩れそうになるが、誇りは屈しない

引用:明治村HP

長浜佐一郎(妻タカの父)の言葉から、

林愛作が数奇な出合いと運命で帝国ホテルの支配人を引き受けるまでの流れを思い出し、

覚悟きめるまで展開。

●そして、混乱を極める現場での愛作の言葉が、

もう一度職人を結束させる場面

このあたりは、テレビドラマで言えばひとつの山場ではないでしょうか。

●その後、遅れに遅れをとっている現場に対して、

経営陣からの計画変更を強引に押し付ける場面が何度も出てくるが、

ライトの強い意志と世界に誇れるホテルへの妥協の無い姿が際だってくる。

●途中、自由学園の建設依頼と芦屋の山邑別邸の設計の話もあるが

これらも、建築ファンとしては、重要なチェックポイントになった。

試練の連続が続く帝国ホテル

●後半もライトの完璧主義による工事の変更やこだわりが工期を遅らせ

 予算を大幅にオーバーさせているので、経営陣の突き上げが大きい。

●そんな中、火事という大きな事故が起こった。

 林愛作は懸命に消火活動を行ったり、

避難対策を行うが

 残念ながらお客様の一人が亡くなってしまった。

 この責任を取り林愛作他役員全員が辞任することになる。

林愛作とフランク・ロイド・ライトとの別れがあったと同時に

 新役員との対立に、壁になってくれる人も失ったことになった。



試練はやがて、大きな証明になる

その後も工期の遅れが取り戻せなかったことや

費用の増大許すことができなくなった経営陣は

とうとう、完成時期を決定しライトへ最後通告したが

●ライトは了解できず契約解除となってしまい、アメリカへ帰国してしまった。

 後は遠藤新が経営陣とのやり取りのなか、屈辱をかみしめ進めていくこととなる。

●帝国ホテル完成までに2度の地震にあっている。

 1回目の地震で、浮き基礎の選択が間違っていなかったことを確信し

 2回目は関東大震災

 この時も、大きな損傷はなく、客室を緊急用に貸し出した。

 帝国ホテルは、ライトの設計が正しかったことを証明したことにもなった

<遠藤新は通信社の記者に以下の言葉を残しています。

「ここが無事だったのは、フランク・ロイド・ライトの設計が適切であったという証明です。このホテルは、世界にふたつとない美しさを持ち、そのうえ、この未曽有の地震にも耐えるほどの安全性も兼ね備えています。そんなライトを招聘した、林愛作元支配人にも、私は敬意を表します」

そんな遠藤新にも最後、幼少の息子を亡くすという悲劇もありました。

明治村に旧帝国ホテルライト館があることに感謝

●エピローグは最初の谷口吉朗が明治村に帝国ホテルライト館移設を

検討する場面の戻り、かなりの困難な状況をどう打開するかを描かれている。

●しかし、このライトや林愛作、遠藤新、さまざまの職人の魂のこもった建築を

なんとか、残したい一心で実行に移った。

●最後、大谷石の石工をした職人の孫(中学生)が明治村の帝国ホテルライト館を見学して

 自分のおじいちゃんがこの仕事をして自慢をしていたことがよくわかったというシーン。

 誇りをもって行う仕事とは、こういうことだと教えてもらったようだ。

私は、この本を読み終えた後、絶対に旧帝国ホテルライト館を観に行こうと決めた

 



2022年4月25日 博物館「明治村」訪ねてきました

そして、2022年4月25日 博物館「明治村」に行ってきました。

憧れの帝国ホテル中央玄関を見学してきました。

想像していたイメージに近かったと思います。

小説に出てくる職人の技とフランク・ロイド・ライトのこだわり抜いた仕事が

間近で観ることができてとても感動しました。

魂の仕事ですよね。

いつまでも大切に保存して頂きたいです。

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