哲学をサクッと学びたい方にはお薦めの漫画です。
「ラブコメ、優しい哲学指南書」です。
漫画本の概要
『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』は
原田まりるさんの小説を原作に漫画にしたものです。
原作:原田まりる
作画:荒木 宰
キャラクター原案:杉基イクラ
上・中・下巻になっているコミック漫画です。
< 書籍の内容 >
漫画で読むと哲学はこんなにわかりやすい!
第5回京都本大賞受賞の同名小説がコミックに!京都在住の女子高生の前に現れた爽やかニーチェが優しく、そして時に厳しく人生指南。哲学アレルギーもこれを読めば完全克服!他の哲学者も次々(彼らすべてがいわゆるイケメン軍団!)降臨してラブコメ哲学漫画が繰り広げられます!引用:小学館
この漫画は、ニーチェだけではなく
色々な哲学者が登場します。
キンケゴール、ショペンハウアー、サルトル、ハイデガー、ヤスパース
このブログでは、その哲学者を語録を紹介しながら
哲学の考え方をまとめてみました。
哲学を学ぶ参考になればうれしいです。
このブログに使われる引用文はすべて漫画「ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のことを教えてくれた」(小学館)からです。
上巻 ニーチェとキンケゴールに出合う
舞台は京都のとある高校。
物語は児島アリサ(17歳)の女子が恋愛に悩むことから始まります。
そこへ突然ニーチェが若い男性に降臨して、現れるという設定です。
改めて、ニーチェ 19世紀ドイツの哲学者。
ニーチェ
上巻は児島アリサとニーチェが出合い、恋の悩みを聞く場面から始まります。
そして、最初に出てくる言葉が
「祝福できないならば呪うことを学べ」というニーチェの言葉。
この言葉の意味は、世間一般の道徳や空気を読むなどといった
周りの目に縛られて、自分の考えを失ってしまうことへの警告。
もっと、自分の気持ちを表現せよということですね。
「自分を偽っては何者にもなれない」
これが、「超人」への1歩になると。
ニーチェ語録を抜き出しました
ここからは、ニーチェの言葉が専門的なので
言葉を抜き出す形で進めていきます。
「ルサンチマン的」手に届かないものを見下したり、強い相手を妬んだりして、
弱い自らを正当化する思考。
いわゆる負け惜しみですね。
「奴隷道徳」強い物は悪。弱者が良いことである。という思考。
「畜群道徳」多数の意見が良いと思う思考。道徳に縛られしまうこと。
「永劫回帰」人の命は何度も生まれ変われることになるという思考。
無限にスロットが回転されている限り同じ遺伝子が揃う可能性がある理論。
「運命愛」永劫回帰を受け入れること。
人生の辛いことや苦しいこともあるが、すべては自分が欲していると考える。
たとえゴールが遠周りになろうとも、その過程を知る発見や体験等を喜びに変える。
それが運命愛。
運命で起こることを愛するという事ね。
「ニヒリズム」相手をうらやんだり、自分を蔑むこと。人はニヒルになりがち。
「人生は無意味だから自由に生きてやれ!」という「積極的ニヒリスト」になれ。
「人生を危険に晒すのだ」怯えず、自分を否定せず、何事も挑戦し続ける。
それで掴める喜びがある。
追い求めるのは「前よりも成長した」
己を超えることは辛いこともあるが至高の喜び
「楽な道と喜びある道は全く別もの」迷った時は自分で選択せよ。
「過酷上等、過酷の先に夢があるなら、負けじと乗越えろ」
「結局、人間は自分から逃げられない。」
キンケゴール
キンケゴール 19世紀デンマークの哲学者
キンケゴールさんは普段は読者モデルをしている美男性に降臨。
キンケゴールさんは美男子だから
アリサちゃんもうっとり。
「水平化の時代」世間一般の意見に大衆の意見が流されてしまう。
そこには個性も感動もない。
自分らしく生きる為には人に合わせすぎない。
簡単にいえば「我がまま」で居ることかな。
ニーチェは「神は死んだ」“神の言葉”を鵜呑みにするのではなく自らの考えを導き出せ。
キンケゴール「自分が生きる上で、神を信じた方が人生と真剣に向き合える」
<ここから中巻にまたぐ>
「自由のめまい」 “何かをする”ことも出来るし、“何かをしない”しないこともできる。
「可能性は夢を見せる分、不安にもさせる」
「一度決断したら自信を持って進むこと」
「人生は後ろを向くことでした理解できませんが、前にしか進めない」
中巻 ショーペンハウアーとサルトルに出合う
ここからはワーグナー19世紀ドイツ音楽家
やザロメ(魔性の女性、ニーチェが幾度となく振られた)
も登場しますが、哲学とは少し離れていますのでここの場で紹介。
ショーペンハウアー
ショペンハウアー 19世紀ドイツの哲学者
「人生は苦悩で溢れている」
「人生とは、苦悩と退屈の間を行ったり来たりする振り子のようなもの」
欲望が満たされれば、退屈になり、やがて欲望が生まれ苦悩が生まれる。の繰り返し。
「富は海水に似ている。飲めば飲む程喉が渇く」
「客観的」職業、地位、肩書、役者で言えばその役処。他人から見た自分。
「主観的」自分自身に戻った時
人は幸せを外的なものに求めすぎている。幸せを感じるのは自分自身の感性。
「健康な乞食のほうが、病める王より幸福であろう」
「精神性の乏しさは、外面的な乏しさを引き寄せる」
身の程にあっていない富は身を亡ぼす。
「他人の目に自分がどう映っているのか、他人の意見に高い価値を置くのは人間の狂気だ」
「他人の評価に振り回されるな。まずは確固たる自信を持て」
相手は自信が無いから、自信のある者を非難するんだ。ほっとけ。
サルトル
サルトル 20世紀のフランスの哲学者
『実存主義』「実存は本質に先立つ」
モノには何かをする目的「本質」があって、モノが「実存」する。
しかし、人間は理由が無くても存在する。
それが、「実存は本質に先立つ」ということ。
「生きていることに理由なんてないから、自分の存在理由を求めて思い悩むなんて無意味」
「生きていることに理由があるなんて、人間の奢り」
「実存主義とは、人生のあり方を追求する思想」
そういう不条理を小説『嘔吐』に発表し、ノーベル賞まで選ばれたが辞退している。
「万物に存在しないといけない理由はなく、ただ偶然に存在しているだけ」が書かれている。
「人間に生きる理由がないということは、逆に自由ということにもなる」
「しかし自由とは責任をはらんでいる」
<ここから下巻にまたぐ>
「人は自分の主観でモノを見ている。すべて“対象”として自分の世界に映る」
他人も心の中が見えない限り、モノでしかない。これが対象化ということだ
「逆に、他人が自分を見てもモノでしかない。これを“他有化”という」
他人にどう思われるかは自由だ。それを受け入れなければならない
「他人は他人を自由に生き、自分は自分を自由に生きる、そこから逃げることはできない」
「他人の自由を見守ることしかできない」
他人を利用したり強制するのではなく、自分をしっかり生きること。
下巻 ハイデガーとヤスパースに出合う
ハイデガー
ハイデガー 20世紀ドイツの哲学者
サルトルの紹介によりハイデガーに会いに行く。
『ダーザイン』 ドイツ語で「今ここにあるという存在」という意味
「存在しているということを理解している存在」は人間特有のもの。
「人間以外の動物は、自分の存在価値に悩んだりしません」
人間はただ生きているだけでは満足しないんです。
「死は“ダスマン”に訪れるものであり、自分とは切り離されている」
ダスマンとは「不特定の誰でもいい誰か」という意味です。
「死をもって生を見つめた場合に、人は代わりがきかない存在」なのです。
自分の死は自分しか経験できない。
「私たちの人生が何であったかは、最終決定は死ぬ時なのです」
人生の途中で失敗を何度しても人生の最終決定ではないということ。
「本来的生き方」自分が死ぬことを受け入れて、残された時間をフルに生きること。
「非本来的生き方」グスマン的に死を切り離して生きていくこと。
「死を肯定的に捉えて、自分自身を未来に投げ込むこと」
命の有限性を自覚して、未来から逆算して今何をすべきかを考える。
死は、生を輝かせる光にもなります。
ヤスパース
ヤスパース 20世紀ドイツの哲学者、精神科医 実存主義
「哲学は本来役に立たない学問だから」
これが真理だ!という万人が納得する成果を持っていないから。
でも、哲学は答えを出すまでの考える過程に意味がある。
哲学には「3つの根源」がある。※哲学を考えるきっかけ。
「驚き」、「疑い」、「喪失」
「驚き」何かを発見した時の驚き。真理に近づいた時の満足感。
「疑い」当然とされていることに疑いをもつ。本当にそうなのかと。
「喪失」自分ではどうしようもない状況を目の前にして自分自身を深く考えること。
ストア派、禁欲主義、ストイックの語源
「限界状況」超えられない壁、挫折(病気や災害、戦争など)
不幸や挫折が人を作っていくんだ。
そういった状況は終わりじゃなくスタート地点と考えるんだ。
「人は一人だと無なんだ」
「他人との共生の中では“愛しながらの闘争”心がけるべき」
「実存的交わり」理解しあうことを目的にぶつかり合う。
限界状況にぶち当たった人を孤独から救えるのは実存的交わり。
「哲学って、人に意味を与えるものじゃなくて、覚醒させるもの」
「哲学は人に伝えたくなるもの、そして語り合うことで成立するもの」
真理はふたりからはじまるのです。
別れの夜
キンケゴール「幸せの扉は外に向かって開くので、突進しても開かない」
「人は、自分が幸せだと思う根拠があれば、幸せになれる
それは意外にも、自分の内側に潜んでいるかもしれない」
ショーペンハウアー「生まれてきた境遇、才能、容姿を運命とするならば、人は平等ではない」
「手持ちのカードは変えられないけど
どのように戦略を立てるかは自分にかかっている」
「運命を嘆くな、勝負の仕方を考えろ」
ニーチェ「超人になるには三段階の精神の変化を要する」
「ラクダの段階」様々な困難を受け入れ耐える段階:学習、呼吸
「ライオンの段階」批判することや、破壊することを恐れない段階。:疑問
「子供の段階」自ら創造していく段階。:自分自身の考えを組み立てる
最後に
この漫画は京都が舞台なのですが
なぜか、あまり京都である意味が解りませんでした。
最後に哲学の道が出てきて、これで京都を舞台に?って思ったほどでした。
でも、これが映像化されるとしたら、
京都の街と哲学って似合うかもしれないなと読後に感じました。
最後にアリサがノートに、哲学者の言葉を残しているのを見て
このブログも同じになってしまったなと思ったので
アリサのノートを見ているような感じで
読んでもらえるとうれしいです。
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