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漫画『犬を飼う』谷口ジロー著|これはお薦め本です

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谷口ジローさんと言えば孤独のグルメ」や「歩くひとの漫画作家さんの

イメージを持つんじゃないでしょうか。

私もそれほど谷口ジローさんの漫画を読んだわけでは無いのですが

この著書を読み終えた時、

この作品は谷口ジローさんの代表作じゃないかと思ったほど、

谷口さんの熱量を感じました。

谷口ジロー(1947-2017)

アシスタント生活を経て1975年『遠い声』で第14回ビッグコミック賞佳作を受賞。

以降、『犬を飼う』(第37回小学館漫画賞審査委員特別賞・1992)、『「坊っちゃん」の時代』(第22回日本漫画家協会賞優秀賞・1993、第2回手塚治虫文化賞マンガ大賞・1998)、『遥かな町へ』(第3回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞・1999)、『父の暦』(アングレーム国際漫画フェスティバル審査員賞・2001)、『神々の山嶺』(第5回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞・2001)など数々の賞を受賞。

2011年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ章を受章し、ルーヴル美術館やルイ・ヴィトン等との企画を手がけた。 近年では『孤独のグルメ』(2012)、『事件屋稼業』(2013)、『歩くひと』(2020)のテレビドラマ化とともに、 海外では『遥かな町へ』 (ドイツ・ベルギー・フランス・ルクセンブルク 2010)の映画化、『晴れゆく空』(2017)のテレビドラマ化、 『神々の山嶺』(2021)のアニメ化など、国内外問わず多数の映像化作品が公開されている。

出典:世田谷文学館 谷口ジロー展

以前に「散歩もの」ブログは書きました。

『散歩もの』久住昌之(作)谷口ジロー(画)【名作漫画掘り起こし】
『散歩もの』と『孤独のグルメ』 久住昌之(作)谷口ジロー(画)と言えば 『孤独のグルメ』が有名だけれど この『散歩もの』もこのお二人の作品になる。 やはり、どことなく『孤独のグルメ』を思い出すような 展開にはなっていますね。 中年のオヤジが...

特に一作目「犬を飼う」と二作目「そして・・猫を飼う」は死と生が描かれていて、

すべての生き物には例外なく起こる始まりと終わりを表現されていると感じた。

そして五作目「約束の地」では自分の本当の生き方を教えてくれたように感じた。



「犬を飼う」

出典:「犬を飼う」谷口ジロー著

「犬を飼う」ではご夫婦が大切に育ててきた犬(タムタム)が老犬になり

やがて衰弱してやがて、体もやせ細り亡くなっていくという物語なんだけど

衰弱していく過程の絵の表現が見事で、

思わず老犬や夫婦の心の苦しさに感情移入してしまう。

私は読後、このシーンは悲惨で見るに堪えない姿と考えるか、

生きることの尊厳として考えるかを問いかけているように感じた。

死は生きる物すべてが必ず通る道です。

その最後はどうするべきか、どうあるべきか

私も、父親(91歳)がもう一人では生活できない状態なので

この話は心に突き刺さるものがありました。

親の最後はどうしてあげればベストであるかを考えさせられました。



「そして・・猫を飼う」

出典:「犬を飼う」谷口ジロー著

打って変わって「猫を飼う」では子猫が誕生する物語です。

を飼う」では「」を

を飼う」では「誕生」を

この対比はうまいなと思いました。

子猫が誕生する時も、すんなりとは行かないので、

読者もハラハラしてしまいます。

そして獣医さんの助けを借りて、

無事難局を乗り越えたあとは、読者もほっとしますよね。

このあたりの絵の運びも良かったと思います。

命の誕生というのは、

母親も子供も死と背中合わせの出産であります。

すんなり生まれてくれればいいのですが、

私の子供の出産の際も色々大変でした。

(私は父親なので心配するだけなのですが、家人は大変です)

そんなことも記憶が蘇りながら読んでいると、

命の尊さが感じられますよね。

「犬を飼う」と「猫を飼う」は終わりと始まり悲しさと喜び

そういった対比と共に

生きることの尊厳や命の尊さを教えてくれていますよね。



「約束の地」

出典:「犬を飼う」谷口ジロー著

最後の章の「約束の地」は、

今までの物語とは全く違う登山家の物語でした。

この登山家の物語は、若い頃に山に登って、

友人が滑落して一度は登山を止めてしまうのですが

どうしても諦めきれずに、再度挑戦する。という

他の登山家の物語と大きく違うところはないんですが

この物語の一番のポイントの場面は

主人公がヒマラヤのアンナプルマの氷壁で見たユキヒョウ

動物園で檻の中で見たユキヒョウの姿が全く違っていて

自分が今は檻の中のユキヒョウと同じだと感じた時に、

再度登山に向かうというシーン。

自分は今、眼が輝いているのか、

それとも檻の中で曇った眼でいるのか。

もう一度輝きたい。それができるのは今しかない

そこだと思うのです。

私もシニアの年齢になったので思うのですが、

もう体力的にも精神的にもできることが限られてきている。

やりたいこと、やれることはすぐに始める。

そして、失敗も成功も受け止める。

そんなことを感じました。

それから、山頂に向かう時の言葉が印象的でした。

「人間の愚かさや弱さが垣間見えてくる」

「自然に対する気負いや野心が薄れてくる」

「この充足感や至福感から、妻や友人たちへの感謝の気持ちが湧き上がってくる」

「やはり・・・ヒマラヤの峰々には神々が存在しているかもしれない」

引用:「約束の地」谷口ジロー著

山に登るとこういった感情になるんでしょうね。

だから山登りをすると止められなくなるんですね。

山頂に登ってヒマラヤからの景色を見るシーンは思わず涙しそうでした。



最後に

この漫画は久々に超推薦できる作品だと思いました。

もう教科書に載せてもいいくらいです。

いや一冊まるまる教材にしてもいいんじゃないでしょうか。

小説二冊分くらいの感動得ましたから。

「犬を飼う」を読むと動物を飼うのをためらうかもしれませんが、

「猫を飼う」を読むと動物を飼いたくなると思います。

その2つの感情を学ぶことで、

動物を飼うことにも覚悟ができると思います。

是非読んでほしい一冊ですね。

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