あまり漫画の世界は詳しくないのですが
この漫画のタイトルを見て即買いした1冊です。
なんだか、本好きな人間には貴重な1冊に見えたんですね。

本書概要
『ビブリオ漫画文庫』は18人の漫画家さんの19話の漫画が
編集されている文庫版の漫画です。
(山川直人氏の漫画が2話収められています)
古書店、図書館など、本をテーマにした傑作漫画集。主な収録作家―水木しげる、辰巳ヨシヒロ、つげ義春、楳図かずお、諸星大二郎ら。
編集:山田 英生(ヤマダ ヒデオ)
1968年生まれ。内外タイムス、アサヒ芸能記者などを経て、現在では、書籍、コミックの企画編集、雑誌記事の取材執筆に携わる。編書に『原水爆漫画コレクション全4巻』などがある。共著書に『「暴力団」壊滅論』(「やくざコミック規制」などを分担執筆)がある。
引用:筑摩書房
※このブログ掲載の写真はすべて「ビブリオ漫画文庫」からの出典です。


今回はこの中から、
私が印象的だった3話をピックアップしたいと思います。
「古本と少女」 つげ義春

この漫画の初出は『月間漫画ガロ』1966年9月号です。
随分古い漫画で、その頃の淡い恋心が描かれている。
つげさんも若かったんだろうなと画を見て思った。
欲しかった古本の中に1000円札が挟まっていて
そのお金をネコババするか、古本の持ち主に返すかの心の葛藤と、
古本屋の留守番をする少女との淡い恋心を描いた作品。
今読むとすごく初々しくて、かえって新しさを感じる作品でした。
「粗骨の巣」 湊谷夢吉

初出は『エロトピアデラックス』1982年8月号です。
湊谷夢吉氏の漫画は初めて読みました。
この漫画は「神戸新報」という会社のまじめ記者“宮戸”が
“梅林粗骨”という発禁すれすれ(又はアウト)の
猥本を作る男(エロじいさん)を
調査して記事を書くという仕事を回される。
まじめな宮戸が粗骨の仕事のぶりを取材するのですが
その裏家業がなかなかリアルで興味深く面白いのです。
漫画のタッチ、裏の世界(エロ業界)を描くところは
共に「ナニワ金融道」青木雄二氏を思い出しました。
内容がエロをテーマにしているので
テレビでは無理でしょうけど、映画にしても面白いかもです。
オチもしっかりできているので満足感がありますね。
「古本屋台 Q・B・B」(作:久住昌之 画:久住卓也)

初出は『彷書月間』2007年1月号他です。
久住昌之氏は「孤独のグルメ」で存じ上げているのですが
久住卓也氏の漫画は初めて見ました。
タイトルの中のQ・B・Bは
それぞれの漫画のサブタイトルの頭文字になっているのです。
例えば「休館日、ビール飲んでる、バチあたり」とか。
この漫画は見開き2ページ16コマ漫画で、
合計12編が収められています。
まず、古本屋台の発想が面白い。
この古本屋台を舞台にしながら常連客
(山高帽をかぶったコートのオジサン)と
屋台の店主(ジイサン)を主役におきながら
毎日の違う来店客との対話を愉しむというストーリー。
「深夜食堂」の古本屋台版を思い浮かべた。
焼酎「白波」の一杯100円(一杯しか飲めないルールがある)もユニークだし、
店主オヤジの古本を愛し、こだわりの中で最小限で生きている姿もいい。
読み終えた後は、やっぱり久住さんらしい作品だなと感じましたね。
最後に
この他にも水木しげる、松本零士、楳図かずお、いしいひさいち等の
有名どころの漫画家の作品も収められています。
なかでも、山川直人氏の作品は唯一2作品が選ばれています。

山川氏は漫画界の“吟遊詩人”と呼ばれているらしいですが、
その雰囲気を醸し出されている作品を味わうことができました。
「本」をテーマに選ばれた漫画でしたが、
ほとんどが古本屋ばかりだったので
凄くセピア色のノスタルジーを感じることのできる漫画文庫でしたね。
大事に残したい1冊になりました。
漫画愛好者にはお薦めです。
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