23年1月10日 午後7:30~7:57 NHK総合で放送された
「クローズアップ現代」に沢木耕太郎さんが出演された。
久しぶりにテレビで沢木さんを拝見でき嬉しかったので
少し記憶に留めておきたく
備忘録としてまとめてみました。
沢木耕太郎ファンの何か参考になればうれしいです。
『天路の旅人』西川一三 し烈な旅を超えた自由な姿
やはり出演された大きな理由は
『天路(てんろ)の旅人』が発売されて
その紹介を兼ねてのテレビ出演だったと思います。
ただ、沢木耕太郎さんのノンフィクションを通じて
自分の理想の生き方を語っていく姿は見ごたえがありました。
沢木氏が惹かれた
『天路の旅人』の主人公「西川一三」という人物は
こんな人生を歩んできました。
“最後になっても”と語ったのは、着想から25年もの歳月をかけた長編『天路の旅人』。
主人公は“人としての理想形”ともいう人物だ。
第二次大戦末期、日本陸軍の密命を受け「密偵」として中国大陸の奥深くまで潜行、ラマ僧に扮して旅を続けた西川一三(かずみ)。
帰国後は一転、盛岡の一化粧品店主として淡々と同じ日常を繰り返し、2008年、89歳で亡くなった。
引用:ステラnet
彼は日本軍のスパイとして、
終戦後も、インド・ネパール・ブータンなど、8年に渡って旅を続けた人物だそうです。
頼る人も無く、お金も無く、国のバックボーンも無く
生きていく為にし烈、困難を乗り越え続けた旅が
何の制約もなく、自由でいられる姿だと。
それは、純度の高い旅でもあって、素敵なことだとも。
沢木氏は考えているようでした。
<惹かれた“一人で生きる”西川の姿>
私もフリーで仕事をしているので
「ソロで仕事をしていく」⇒「自由になれる」という考え方は
できるだけしがらみを排除して
自分の納得のいく仕事を追い求めていくのは
よくわかるような気がしました。
但し、反面その自由を獲得するためには
し烈な戦いをしなければ得られないということも
忘れてはいけない。
この一人で生きてきた「し烈さとその自由さ」が
沢木氏を惹きつけることになったのですね。
西川一三氏の「足るを知る」生き方
西川一三氏が日本に帰ってからは
一転、小さな化粧品店を構え
364日は毎日同じ時間に仕事をし、(休みは元旦の1日だけ)
終ってからは2合のお酒を飲み、
1日が終わる生活を毎日繰り返してきました。
その生活スタイルも沢木氏には“かっこいい人”に思えたそうです。
「足るを知る」生き方。
今、手に入れている境遇を坦々と生きていく。
その姿が沢木氏にとってはある意味「理想型」だったようですね。
斎藤工、大沢たかお、カシアス内藤…沢木耕太郎の魅力を語る
斎藤工さんは
中学生の時に「深夜特急」を読んで
居ても立っても居られなくなって
アメリカへバックパッカーで旅に出かけ
18歳の時には18か国を旅したそうです。
読み終えて「よし、自分も同じような旅をしよう」って思った方はたくさんいると思うんですけど、私も読みながら……もう荷造りしようっていうような感覚だったので、最後まで読みきらずに僕は中学3年生のときに旅に出ました。
そして自分に問いただされるんです。「とどまっていていいのか」と。ただ本を読んでいるだけじゃ追体験できないので、それを確認しに行くことが自分に必要だと。
引用:NHKクローズアップ現代
大沢たかおさんは
ドキュメンタリードラマ「劇的紀行 深夜特急」で
沢木耕太郎役を演じ、こう感じたそうです。
ものすごく強い精神力と体力をお持ちなのに、それを一切誇示しない。
本当に強い人ってそういう人なんだと。
僕はもっともっと欲深いし、現実的だし、悩み苦しむ人なんで。
だから本当に、人間と神様が半分混ざったような人。そういう印象ですね。
引用:NHKクローズアップ現代
ボクシングのカシアス内藤さんは
沢木耕太郎さんのノンフィクション『一瞬の夏』の主人公です。
当時の取材時の沢木氏の様子や人となりを語っていました。
今でも『一瞬の夏』はバイブルにしているそうです。
ダニエルウェリントン日本公式ショップこういうこと聞いちゃいけないとか言っちゃいけないっていう気持ちがあって、ちょっとデコレーションした会話になるけど、あの人はストレートですよ。
いいことも悪いこともストレート。だからこっちも答えやすい、ストレートに。普通の生活もなんでも沢木さんは関わってきて、そばにいても取材だなんて思ったことないし。ありのまま出せるよね。普通の自分を出せる。
引用:NHKクローズアップ現代
若い人たちへ「気をつけて、だけど恐れずに」
最後に若い人へのメッセージとして
沢木氏は「深夜特急」の「あとがき」にかかれた言葉
「恐れずに、しかし気をつけて」
この言葉を送られていました。
今僕は逆にね、「気をつけて、だけど恐れずに」っていうのを。
気をつける、でも恐れない。
そしてできるだけ自分たちの自由を、気をつけながら拡大していってもらいたいと若い人たちに思います。
僕らの自由なんか、ある意味でいえば後回しでいいから、失われた何年間を経た若い人たち。
その彼らが気をつけて、でも恐れないで、自由を広げていってくれるという、そういう1年になればいいなと思います。
出典:NHKクローズアップ現代
とても沢木耕太郎さんらしいインタビューの内容でした。
沢木さんにとっての「自由」とは、「生き方の理想」とは
少し形になって表れたように感じました。
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