『夜と霧』はヴィクトール・E・フランクルによる
ナチスによって強制的に収容所に連れて行かれ
過酷な生活を余儀なくされた経験を綴った書籍です。
原題は「強制収容所におけるある心理学者の体験」です。
今回はその『夜と霧』を解説する『100分de名著ブックス』から
「生きる意味」というテーマで要点を抜き出し、
学んでみたいと思います。
※下記内容は100分de名著ブックス「フランクル 夜と霧」から
引用もしくはアレンジしています。
<本書内容>
ナチスによるホロコーストを経験した心理学者フランクル。
彼は強制収容所という過酷な状況に置かれ、絶望にあえぐ人間の様子を克明に記録しながら、それでも人生には意味があり、希望があることを訴え続けた。
「あなたがどれほど人生に絶望しても、人生のほうがあなたに絶望することはない」。
時として容赦なく突きつけられる“運命”との向き合い方を探る。姜尚中氏の特別寄稿/新規写真/読書案内などを新たに収載!
「未来に希望を持つこと」が生きる力になる
クリスマスには家に帰れると素朴な思い込みが裏切られたとき
希望を失った収容者たちから、多くの死者が出た。
つまり、過酷な状況を生き延びた人は、
未来に希望を思い描き、それを失うことが無かった人達です。
自分の未来に希望を抱けるか否か、で人々の生死を分けるものがあったのです。
やはり希望という意識は、生きる上で大変重要なことなんですね。
感受性の豊かな人が頑丈な人より生き延びた
殺伐とした毎日の中でも祈ることを忘れず、
感謝することを忘れないような精神の持ち主は
肉体が頑強でなくても生き延びる確立も高かった。
過酷な状況にあっても、「精神性が高く、豊かな人」は、
それに支配され押しつぶされることなく
「もう一つの世界」への活路が開かれていたからである。
宗教だけに限らず、何かに対して祈る、感謝する姿勢は大事だと改めて感じました。
「何か」があなたを待っている
どんな時も、人生には意味がある。
なすべきこと、満たすべき意味が与えられている。
この人生のどこかに、あなたを必要とする「何か」がある。
あなたを必要とする「誰か」がいる
たとえあなたが人生に「イエス」と言えなくても
人生の方からあなたに「イエス」と光を差し込んでくる日が、
いつか、必ずやってくるから。
私たちはただ生まれてきたわけじゃない、そこには確かな役目を持って生まれてきている。
「誰に」「何を」が必ず見つかるはず。自分ももう一度見つめ直してみたい。
人間は、人生から問いかけられている
私たち人間がなすべきことは、生きる意味はあるのかと「人生を問う」ことではなく
人生の様々な状況に直面しながら、その都度「人生に問われていること」に全力で応えていくこと、ただそれだけと言うのです。
「あなたは何をすることを求められているのか。」
「あなたは使命は何なのか。」
「あなたを必要としているのは誰なのか。そしてそれは何か。」
「その誰かや何かに目を向けましょう。」
私たちが問うのではなく、人生の方から問われているんだね。逆転の発想が必要。
「誰か」があなたを待っている
人間とは、自分ではない誰か、
自分ではない何かとのつながりによって生きる力を得ています。
自分を持っている何か<仕事>、
自分を待っている誰かとのつながりを意識している人は、
決して自らの命を絶とうとすることは無い。
「自分の幸福」を追い求める「自己中心の生き方」から
「人生の呼びかけ」に応えていく「意味と使命中心の生き方」へと、
転換することを求めた。
確かに仕事は大事だ。仕事は決して一人ではできないからね。
生きる意味を見つける三つの手がかり
想像価値 ー 自分の仕事をまっとうする
想像価値とは、「仕事」を通して実現される価値
「自分に与えられた仕事にどれだけ最善を尽くしているか」や
「自分のしごとにおいて、どれだけ使命を全うできるか」が重要である。
目の前の仕事を夢中でやってみる。
体験価値 ー 愛は生きる力を与える
体験価値とは、自然とのふれあうことや、
人とのつながりの中で実現する価値。
「何か」や「誰か」との出会いによってもたらせられる価値
たった1度でいい、誰かと深く愛し合えたという「思い出」があれば
最終的に救う力を持つのです。
態度価値 ー 変えられない運命に直面して
態度価値とは、自分では変えることができない出来事に、
その人がどのような態度をとるかによって実現される価値。
苦しい毎日の中、仲間に励ましの言葉をかけ、
時にはもっと飢えている人には自分のパンを与える。
態度価値の実現は、どんな劣悪な環境でも可能なのです。
人は何も生産的な活動をしなくても、
そこにどのように存在するか、
その仕方に価値を現出させているのです。
目の前の仕事を懸命に行う。触れ合いを大事にする。声をかけるだけでもいい。
たとえ明日死刑になろうとも
「どんなに私たちが人生に絶望しても、人生が私たちに絶望することはない」
「人生から意味実現の機会がまったく失われることはない」
「私は他の人々が人生の意味を見出すのを援助することに、
自分の人生の意味を見出してきました」
私たちは存在する限り、人生からの問いかけがあり、意味があるんだな。
苦悩は人間の「能力」の一つである
苦悩することは、この地球上で唯一人間だけであり、
したがって「苦悩することは」人間の一つの「能力」と考えた。
「苦悩を感じない苦悩」というものがあります。
「苦しい」時には苦しい、「悲しい」時には悲しいと感じることが自然。
失感情症の人はそういう感情が出てこないのです。
何も感じないことは、
苦しい時に苦しいと感じることよりも、
さらにつらい時なのです。
苦悩することはつらいけど、そのつらさも自然であり能力ということだね。
まっ平らな世の中で「垂直性」を生きよ
現代社会において、重要だと思う提言。
すべての価値が相対化したこの「まっ平らな世界」にあって
「垂直性」を生きよという考え方。
人生における「水平軸」と垂直軸」
絶望の底にある時にこそ、
ひらりと反転して精神性の高みへと飛翔しうることがある。
絶望の果てにあってこそ、光は差し込んでくる。
この表は頭に焼き付けておきたい。絶望からは反転することがあるを。
人生は決してあなたに絶望しない
私たちが本当に悩み苦しんでいる時、
絶望しかかっている時、
そうした時だけスーッと心に入ってくる「何か」があるのです。
「あなたがどれほど人生に絶望しても、
人生があなたに絶望することはない」
この言葉はテーマだね。丸暗記しよ。
『100分de名著』はNHKオンデマンドで観ることができます。
『100分de名著』はNHKオンデマンド(有料)で観ることができます。
下記にHP貼り付けておきます。
「100分de名著 フランクル“夜と霧” 第1回 絶望の中で見つけた希望」
100分de名著 フランクル“夜と霧” 第1回 絶望の中で見つけた希望 -NHKオンデマンド ナチスの収容所では、ガス室に送られるかどうかはちょっとした偶然で決まった。先が見えない中、囚人たちの間ではクリスマスに解放されるとのウワサが広まった。 https://t.co/FFxFvrbF12
— 拓陽 (@fukunaga1960) August 16, 2022
本書を読み終えて
「夜と霧」を読み終えた時は、
このような解釈はほとんどできなかった。
この「100分で名著」を読むことで、
改めてこの本の凄さを感じた次第です。
フランクルの提言は、
何も強制収容所の中の話だけではなく
現代の社会で生活しているすべての人に当てはまると感じています。
何かに不満を抱え、何かにもの足りなさを感じ、
閉塞感漂う世の中ですが
すべては自分の意識の持ち方により、
生きやすさを得ることができるんだろうなと
この本の内容をヒントに今から取り入れることが必要だと感じました。
折に触れまた読み直したいと思います。
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