映画『HOKUSAI北斎』観ました。
北斎の青年期から晩年までのストーリーだったので、
少し端折りながらっだったのが少し見る側も忙しかったけれど
それなりに、美しい映像と要所要所に盛り上がりや緊張のある
いい映画だったと思います。
出典:映画.com
今回はストーリーでは無く、
私が気になったシーンについてピックアップしたいなと思います。
歌麿の絵を描くシーン。遊郭に描かれた絵は若冲じゃねぇ?
一番最初に引っかかったのは、遊郭で歌麿が絵を描いているシーン。
真っ赤なエロティックな部屋の絵がとても大きくて
天井まで羽を広げる孔雀のような絵は、
「若冲の孔雀の絵じゃねぇの?」って思ってしまった。
出典:和楽web
映画を観終わったあと、色々調べてみても若冲の絵とは描かれていないので
何とも言えないんだけど
これは伊藤若冲の「動植綵絵 老松白鳳図」にそっくりなんだよね。
時代的に調べてみたらこの絵を描いていたのは、1766年頃で
歌麿が活躍していた頃は1790年代からだから
この絵を模写して部屋中に描いていてもおかしくはないんだけどね。
それにしても、見事な部屋を作ったんですね。
この部屋が現実にお店だったら行ってみたいな。
写楽が皆と宴会をしてる。あまりにも出過ぎじゃねぇ?
写楽もこの映画の中に出てくるんだけど、小柄なんだよね。
写楽の本も幾冊か読んだけれど、
どれも人物像ははっきりしないか、
体形的には大きくても小さくても書いていないので、
周りの人物と差異は無かったと思うんだけど
この映画では、えらく小柄だったなあ。
ちょっと違和感を感じた。
でも問題は体形的なことじゃなくて、
この写楽がよくしゃべるし、皆とお祝いの席で酒を飲み
北斎といい合いの喧嘩をするというシーンがある。
もう謎の絵師では無くなってるんじゃないかな。
絵師や仕事仲間、旦那衆にばればれじゃないですか。
写楽ファンとしては、もう少し隠してほしかったなあ(笑)
柳亭種彦の斬首ってやりすぎじゃやねぇ?
永山瑛太さんが演じる作家・柳亭種彦(りゅうてい たねひこ)は
今回初めて知った名前でした。
実際に存在する人物かどうかウィキペディア調べてみたら、
結構作品を残していることを知りました。
作家活動は副業?永山瑛太さん演じる江戸のベストセラー作家・柳亭種彦を3分で解説!
出典:和楽web
最後に、武家に斬首されるシーンは迫力があったけれど、
実際は死因は不明の様ですね。
それで、種彦の斬首された頭を描いた絵があるのかも調べましたら、
これは確かに残っていましたね。
葛飾北斎「なま首の図」少し怖い絵なのでご興味ある方は
下記をクリックしてください。
後半の北斎を演じた田中泯さんが凄すぎるんじゃねぇ?
中年期~晩年期の北斎を演じた田中泯さんが凄すぎた。
柳楽優弥さんが青年期の北斎を演じW主演になってたんだけど
完全に田中泯さんが食っちまってたって感じ。
出典:映画.com
演出も良かったと思う。
北斎ブルーを見せる為の雨中で皿に入った藍い墨を顔にかけるシーンや
田中泯さんが躍るように舞うシーンは、前衛舞踏家の片鱗を見た気がする。
何よりも絵を描くシーンは迫力満点。
観終わった感想
映画的には良くできた映画だと思う。
『富嶽三十六景』「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴(※赤富士)」など
有名どころの絵が登場するし
片や「なま首の図」のようなマニアックな絵も登場する。
登場人物も蔦屋重三郎を阿部寛が堂々とした大物を演じ、
喜多川歌麿を玉木宏が妖艶な絵師に
青年北斎を柳楽優弥が強い自己があり未来が見えている役どころを、
写楽を浦上晟周が演じ映画に弾みをつけた。
飽きない映画であると共にアート作品としても素晴らしかったと思う。
衣装も舞台セットも新しさを感じたし、力が入っているなと感じました。
ひとつ注文を付けるならば、もう少し絵を描くシーンを見たかったし
最後は竜の絵で締めてほしかったなとそんな風に思いましたね。
しかし、久しぶりに芯のある日本映画を観た気がします。
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