2023年1月22日(日)夜中1:30~ NHKBSプレミアム(再放送)
ドキュメンタリー『21世紀のBUG男 画家 大竹伸朗』を鑑賞しました。
いい番組だったので、備忘録として書いてみました。
何か参考になればうれしいです。
大竹伸朗氏が“そのまま”のドキュメンタリー
この放送は22年6月10日に放送されたようですが
この放送はあったことすら知らず
今回が初めて視聴しました。
ずばり、いい番組でした。
もう少しお金と時間をかけて、深堀なり幅広く撮影するなりすれば、
映画化してもいいかもと思ったぐらいです。
大竹伸朗氏の素顔や制作に対する考え方が
飾りっけなく“そのまま”のドキュメンタリーなっていて
良かったと思いました。
作品《残景0》の創作現場を通して
番組は《残景0》(2022年)の創作現場に密着し
制作約2か月間を中心に据えながら
大竹氏の幼少時代からの生い立ちや
アートに対する考え方や行動を追いかける内容でした。
番組を観ていて、行き当たりばったりの作品作りに
何度も笑ってしまいました。
大竹氏が絵を制作している際に
考えるんじゃなくて偶然性の中で面白い作品ができていくと。
やたら、段ボールの紙を薄くして、キャンバスに張り詰めていく
絵具を感性のまま塗りたくっていく
絵を逆さまにして、こっちの方がいいと言ってみたりする。
素人が見ていると、
もう何でもあり制作風景で、
途中の工程は決して“なるほど”と感心できるものではありません。(個人感想)
まあ、大竹氏が創ったものだからアートで
他者が同じものを作ってもアートではないだろうなと正直感じました。
ただ、大竹氏はこれまでに何千何万という作品を作ってこられた方です。
その人が、考えて作るんじゃなくて
何の意図も意識もしないで、創りたいように作っていく、
本人も「何を創っているのかわからない」作品。
完成は自分が決めるのではなく「作品が教えてくれる」そうです。
これが現在の大竹氏の歴史が詰まった「到達点の作品」なんだと
感じましたね。
世界的に活躍する現代芸術家・大竹伸朗の創作現場に初めてカメラが密着。
独特な創作手法によって生み出される不思議な世界観を大竹の人生の歩みとともに紹介する。
大竹伸朗はどのように作品を生み出すのか?誰も見たことのないその創作の現場にカメラが初めて密着を許された。
さまざまな素材と手法を駆使して創られていく独特の作品世界…。
少年時代から現在に至るまでの紆余曲折の人生の歩みを大竹自身が語りながら代表作の数々を紹介。
大竹と親交のある著名人たちが作品の魅力を語るなど、日本を代表する画家・大竹伸朗の世界を描いたドキュメンタリー。
最新の回顧展の様子も加えた完全版。
「大竹伸朗展」で展示作品も
現在、東京国立近代美術館で「大竹伸朗展」(23年2月5日まで)
が開催されているので
その展覧会に出品する作品として創られていたわけですが
この作品以外にも
テレビ内で放送された作品も展示されているようです。
小学生の頃からアニメの絵を画くことが好きで
友達に画いてあげて、喜ばれたことが
絵を画くことを志すきっかけになったそうです。
「網膜」という作品もTVでもインパクトがありました。
「どんな本にも、貼っていくことによって何かが動き始める瞬間が必ずやってくる」
コラージュは創作の基盤・出発点であり、それが分厚い層になることで作家自身の「自画像」と呼べる存在にまでなる。
引用:TokyoArtBeat
スクラップブックの山を見ていると
みうらじゅんさんもスクラップすることが趣味なようで
もう、新聞、雑誌、紙媒体をみると
切っては貼り、切っては貼りをするのが日課だったようです。
大竹氏もみうらじゅん氏も同じような
こだわりと集中が半端ではない超個性人種なんだなと感じましたね。
印象的だった言葉
大竹氏が話していた言葉が印象的だった。
「人間が考えることは限界がある。偶然性には思いも知れないものができる」
「学校の先生の言っていることやっていたら、アーティストになれない」
「絵を画くことは愉しいと思ったことがない」
「結婚する時は208円しか持っていなかった。
彼女がいなければ絵は続けていけなかっただろう」
最後の言葉は笑い話なんだろうけども
一心不乱に物事に取り組んでいれば
理解者がきっと現れるということを感じました。
大竹氏は映像ではなんだか適当な作品作りをしているように
見えるかもしれませんが
彼はこれまで、膨大な量の作品を作り続けています。
紆余曲折、自らと戦いながら
その結果、今の作品作りが自らのオリジナルになったのだと感じましたね。
最後にもう一つ
仕事が終わって酒場でひとり酒を飲んでいる時は
ただの普通のオジサンだろうなとも感じましたね。(笑)
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