はじめに
実は2020年に放送された
NHKBSドラマ「ファーストラヴ」を観ていたので
映画「ファーストラヴ」については、
大筋のストーリーを知っての鑑賞になった。
小説「ファーストラヴ」島本理央著の作品が直木賞を取った際は
タイトルからして、恋愛小説(私は苦手)をイメージしていたので、
手に取ることも無かったのですが
NHKドラマを観た時は、
全く想像していた内容とは違っていたので驚きがありました。
今回映画を鑑賞してみて、ストーリーを知っていた分、
余裕を持って鑑賞できた気がします。
その余裕が少し深堀した感想になったかと思います。
<ストーリー>
父を殺害した女子大生は、警察の取り調べに対してこう語った。
「動機はそちらで見つけてください」
公認心理師である主人公・由紀(北川景子)は、ドキュメンタリー本の執筆を依頼され、この女子大生・環菜(芳根京子)を取材することに。
動機を探るため周辺人物に聞き取りをするなか、明らかになる環菜の過去。
由紀は彼女と面会するごとに、混乱と動揺を深めていく。
由紀自身にも、環菜と同じく“閉じ込めた過去”があったからだ。
2月11日から公開される「ファーストラヴ」は、事件の全容をめぐって二転三転する展開と、強い感動をともなう圧巻のクライマックスが見る者を虜にするエンタテインメント・サスペンスだ。
出典:映画.com
構成の面白さは「心の傷を持った者」の複雑ラップ
●主人公の聖山環菜(芳根京子)は、
父親(板尾創路)に裸の男性の中で
絵画デッサンのモデルを強要されることや、
ハラスメントを受けることで、自傷行為に走るが、
母親(木村佳乃)にも見て見ぬふりをされ、
そのことがトラウマ化し、結果的に父親(板尾創路)を殺害してしまう。
●真壁由紀(北川景子)は自分の父親が海外で女性の買春をしていることを、
母親から知らされ、そのことがトラウマ化してしまう。
また、庵野迦葉(中村倫也)と学生時代に体の関係を持ったことを、
庵野迦葉の兄であり夫の真壁我聞(窪塚洋介)に告げられずにいる。
●庵野迦葉は幼い頃に親に見捨てられて
、真壁家で育てられたという心の傷を持つ。
●聖山環菜の母、聖山昭菜(木村佳乃)も
過去に自傷行為を行った心の傷を持っていた。
このドラマの面白さはこのトラウマとトラウマが重なり合う複雑系ラップ状態っだと様に思う。
傷を持ちあう者同士の会話の緊張感が連続して繋がっていくのが、この物語の面白さでしょう。
ターゲットは大人の男女の観客?
この映画は堤幸彦監督ですが、特徴的だったのは
セリフがゆっくり目で芝居調だったように思った。
だから、役者さんのお芝居自体も
自然体というよりも演技体?(演技と解る演技)を感じた。
環菜も激高するシーンも多かったし、
由紀も激しい感情を表現していたと思う。
反対に我聞の演技は変に沈着冷静。
これもある意味、演技体だったように思う。
しかし、そうすることで、これは映画だと無意識に感じられて、
逆に観客は安心して鑑賞できるように思った。
ある意味、大人の映画だと感じたのです。
しかも、内容が殺人や自傷行為のシーン、
裁判のシーン、とサスペンスであることと
ファーストラヴという恋愛要素も加味されているので
大人の男女がしっかりと鑑賞できる映画になっていると感じた。
ファーストラヴは環菜の初恋?由紀の初恋?
題名にもなっている「ファーストラヴ」というのは
聖山環菜が小泉裕二(石田法嗣)に対する恋なのか、
真壁由紀が庵野釈迦に対する恋なのか、
はたまた真壁我聞に対する恋なのか。
原作を読んでいないので真意はわからないのですが、
すべてなのかもしれませんね。
私は、小泉裕二が法廷で証人として発言するなかで
どうして少女の環菜を
しかるべき救助対応をしてくれる場所を探さなかったのか反省し
そのことを償うために法廷で発言するシーンが、
印象的で(そこまでの責任が必要なのかという複雑な感情もあるのですが)
彼にとってもある意味ファーストラヴだったように
勝手に思ってます。
映画観るなら<U-NEXT>最後に
この物語を最初にNHKドラマで見た時は、感動しました。
こんなよくできた物語だったのかと、
勝手に恋愛物だと思いこんでいた自分を反省しました。
さすが直木賞だとも思いましたね。
今回はそういう意味では大きな感動は無かったのですが
じっくり鑑賞できたことは良かったかなと思っています。
見えなかった部分が見えたような気がします。
テレビを観ずに映画を先に観た時はどうだったかとも思いましたね。
勝手な深堀感想でした。失礼致しました。
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